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リハビリ・医療 聴覚障害

内耳の疾患

投稿日:2015年12月19日 更新日:

内耳とは

蝸牛(かぎゅう)とそこからつながる神経から作られる器官を内耳と呼びます。
内耳の代表的疾患には以下のようなものがあります。

※耳の構造については、耳の解剖と聞こえについてをご覧ください。

内耳奇形

先天性の内耳の形成不全です。

形成不全の程度により、内耳がほとんど形成されないMichel奇形、蝸牛の回転が不十分あるいは三半規管の形成不全を伴うModini奇形、内耳先天奇形のなかで最も高頻度で見られる前庭水管拡大症と分かれます。

主な症状は、感音性難聴です。

前庭水管拡大症の場合は、進行性・変動性のある感音性難聴、反復するめまい発作が出現します。また、他のModini奇形などの内耳奇形を合併している場合は、外リンパろうを発症しやすいため注意が必要です。

治療は、残存聴力を用いた補聴器の装用、また、難聴が高度の場合は人工内耳となり、早期からの言語療育を行っていく必要があります。

内耳炎

内耳の炎症性疾患です。最も多い原因は、中耳炎が内耳に進展し、内耳炎を発症するものです。他には、髄膜炎に引き続いて発症される髄膜炎性内耳炎、インフルエンザや帯状疱疹ウイルスに感染し発症するウイルス性内耳炎などがあります。

主な症状は、感音性難聴と平衡機能障害です。原因により、難聴の程度は様々ですが、髄膜炎性内耳炎の場合は、重篤な内耳障害を高率に生じます。また、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)では一側の高度感音性難聴を呈するムンプス難聴、帯状疱疹ウイルスでは顔面神経麻痺、感音性難聴、平衡機能障害を呈するHunt症候群が見られます。

治療は抗生物質の投与になります。中耳炎が原因の場合は、中耳炎に対する手術を行う場合もあります。

メニエール病

めまい発作と低音障害型感音性難聴を呈する疾患です。

原因はいまだ不明ですが、女性にやや多く、30~50歳に発症のピークがあります。有病者の9割が片耳の罹患です。

主な症状は、回転性のめまい発作、耳閉感、耳鳴り、聴覚過敏、低音障害型感音性難聴です

めまいの症状は、個人により異なり、2時間~7時間ほど続き、吐き気、嘔吐を伴うこともあります。感音性難聴は、低い音が特に聞こえにくくなる低音障害型が見られ、メニエール病が進行すると高音も障害されてきます。

治療は、めまい発作中であれば安静、点滴、薬物治療などを施します。メニエール病にはストレスが関与することが多いため、ストレスコントールのための薬剤、また、食事指導や平衡器官の改善を目標としたリハビリテーションも有効となります。

突発性難聴

原因不明の急激に発症する感音性難聴です。多くは一側性で繰り返すことはありません。

健康で耳の病気を経験したことのない人が突然発症する難聴で、一般的には40~50歳代に多く、男女差はありません。

主な症状は、原因不明の急激な高度感音性難聴です。まれに同時、あるいは異なる時期に両方の耳で発症することもあります。難聴の出現と同時期にめまい、ふらつき、耳鳴り、耳の詰まり感を生じることもあります。

治療は、原因は解明されていないが、難聴の発症前にストレスや疲労を感じている方が多いため、心身の安静は重要です。薬剤による治療を行い、徐々に回復する場合もあれば回復しない場合もあります。発症から2週間以上経過してしまった場合は、回復が難しいとされています。

老人性難聴

加齢による身体的変化は、全身に見られますが、聴覚器官にも加齢変化は見られます。年齢とともに徐々に組織が変化し、難聴を生じたものを老人性難聴といいます。

主な症状は両側性の感音性難聴です。まれに耳鳴りを訴える場合もあります。

加齢による身体的変化のため、改善は見られません。

母体感染による難聴

妊娠中の母体感染により胎児の聴覚障害を発症することがあります。

代表的な感染源としては、風疹ウイルス、サイトメガロウイルス、トキソプラズマ、梅毒による内耳感染などがあります。
母体の妊娠初期の風疹ウイルス感染では、白内障、心疾患、難聴を主症状とした先天性風疹症候群がみられます。

治療による難聴の改善は見込めず、補聴器の活用、人工内耳の活用を検討していきます。

耳毒薬剤による難聴

薬剤により生じる難聴です。

難聴を呈する薬剤としては、アミノ配糖体抗生物質(ストレプトマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ゲンタマイシン)、ループ利尿薬(フロセミド、エタクリン酸)抗がん剤(シスプラチン)が代表的です。

ストレプトマイシン、カナマイシンは、妊娠中の母体が使用した場合には胎児の聴覚器に影響を与えてしまいます。他に胎児に影響を与える薬剤としては、サリチル酸製剤、バルビタール剤、サリドマイドなどがあります。

薬剤の全身投与の場合は両側の進行性感音性難聴が生じます。

薬剤による難聴では回復が困難です。副作用について十分な説明と理解が必要になります。

騒音性難聴

慢性的に騒音環境化にいることにより出現する難聴です。

騒音が鳴り響く仕事場での勤務、コンサートなどの音楽鑑賞、大音量でのヘッドホンの装着など、大きな音に長期間さらされることが原因となります。

症状は進行性の難聴です。また、難聴の出現には個人差があります。

治療は、薬剤の投与により行われますが、回復は期待できません。騒音環境化での仕事の場合は、耳栓を使う等の予防が必要になります。

聴神経腫瘍

第8脳神経由来の腫瘍です。

人口10万人に対して約1人の発生頻度とされ、30歳~50歳に発症のピークがあり、やや女性に多いです。また、多くの場合は片耳ですが、まれに両側に聴神経腫瘍が発症することがあり、その疾患はNF2(neurofibromatosis 2)という名で呼ばれています。

代表的な症状は、一側性の徐々に進行する難聴と耳鳴りです。しかし、聴神経腫瘍は様々な症状を呈し、急性高度難聴やめまいなどが出現する場合もあります。

また、腫瘍が大きくなると他の神経を圧迫し、味覚障害や顔面麻痺、顔面知覚障害、失調症などを生じます。

治療の基本は手術による腫瘍摘出となります。

機能性難聴

聴覚器官に明確な病変がないにもかかわらず、難聴を訴える疾患を機能性難聴という。

機能性難聴は、2種類に分けられ、発症の背景に何らかの心理的要因があり難聴を訴える心因性難聴と実際には難聴はないのに難聴であると偽る詐聴があります。

心因性難聴の症状は、何らかの心理要因による聴覚系の症状で、難聴、耳鳴り、耳痛、聴覚過敏などがみられます。8歳~10歳の女児にみられることが多いです。また、難聴を訴えずに学校の健康診断で始めて発覚するケースもあります。

治療は、耳鼻科医の対応で軽快していくことが多いです。心理面の問題が明らかな場合は、精神科医との連携も必要になります。

詐聴の場合、聴力と日常生活に多くの矛盾があり、診断で容易に発覚できます。

難聴により金銭的な利益を得られるときにみられることが多く、治療は困難となります。

遺伝性難聴

家族間に発症する遺伝性の難聴です。

遺伝性難聴は、難聴のみが発症する非症候群性難聴と難聴以外にも疾患を伴う症候群性難聴に分類されます。割合としては70%が非症候群性難聴となります。
※詳しくは遺伝性難聴をご覧ください。

この記事の投稿者

宮崎 関大
宮崎 関大
言語聴覚士。専門は成人聴覚障害。補聴器やコミュニケーション方法についてメインで執筆していく予定。

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