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リハビリ・医療 聴覚障害

マスクが聴覚障害者とのコミュニケーションの妨げになると知っていますか?

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花粉症対策やインフルエンザ予防にマスクをする人が多くなるこの季節ですが、マスク1枚隔てるだけで聴覚障害者にとっては大幅にコミュニケーションが取りづらくなってしまうことを知っていますか?

聴覚障害者のなかには口の動きで相手が何と言っているのかを読み取る技術「読話(どくわ)」を用いてコミュニケーションを取る方がいます。また、読話を習得していない聴覚障害者でも口の動きから話し初めを見極める方がいます。このような方々にとっては、マスクがコミュニケーションに障壁になってしまうのです。

特に病院に勤める医療従事者にとっては常にマスクをする習慣があると思いますが、マスクがコミュニケーションの妨げになる場合もあるということを知っておいてほしいと思い、記事にしました。

口の動きを読む読話とは?


画像出典:読話塾

まずは読話(どくわ)の説明から始めます。小学校のときに日本語を覚えるのに50音表を使ったのを覚えていますか?50音表には「あ、か、さ、た、な・・・」などの清音しか載っていないものが多いですが、日本語には清音、濁音、半濁音、拗音、促音、撥音、長音とあり、これらを合わせると100語以上存在します。この100語以上に対して、口形パターンは6つしかありません。つまり私たち日本人は、6つの口形の組み合わせで多彩な発音をしているのです。

では、なぜ6つの口形で100語以上が発音できるかというと、口形だけでなく舌の位置や動き、鼻への通気、口腔内の面積など発音にかかわる器官のあらゆる組み合わせで音が作られます。したがって、「同口形異音語」と云われる口の動きは全く同じでも発音の異なる語が存在します(「たまご」「たばこ」「なまこ」など)。

この同口形異音語の存在により、読話単体でのコミュニケーションは3割程度と言われています。しかし、会話の流れや仕草、表情などの周辺情報から正答率を上げることはできます。しかし、マスクによりこの3割の情報が入らないだけで、コミュニケーションの難易度は格段に上がってしまいます。

当事者の声

ブログやTwitterから当事者の声を引用しました。

聴覚障害者にとって、診察の障害になるものにマスクがある。

医者がマスクをすると、その発音が不明瞭になるばかりか、口形も見づらくなる。難聴者は、口の動きによる情報をかなり利用して、相手が何を言うかを判断しているからだ。手話を使うろう者も同じである。口の形が手話の構造の一部をなしている。

つまり、医者がマスクをすると、何を言っているのか、聴覚障害者には理解しがたくなるのである。

インフルエンザの時期などは、特に医者は神経質である。風邪をもらわないために、患者の前ではマスクをする。そのマスクがコミュニケーションをする上で、どれだけ障害になることであろうか。

もちろん、風邪をうつされないことも大切である。せめて、病気の説明をするときぐらいは、一歩下がってマスクをはずして話しをしてもらいたいものである。

一番問題なのは、医者がマスクをすることで、それが聴覚障害者に伝わりづらい原因になっていると、気づいてすらいないことである。お年寄りが立っていたら、席をゆずる。同様に、聴覚障害者がきたらマスクをはずしてほしい。そんなマナーが必要であろう。

聴覚障害者が病院で不満に思うこと。医者がマスクをはずさないこと。

出典:聴覚障害者医療サポート協会

そういえば以前に、スーパーの店員さんにマスクをして話しかけられた時、
「耳が悪いので、マスクを外してもらえますか?」と頼んだけど、
意味が分からなかったのか、そのまま話し続けられたことがありました・・・

難聴=口の動きを見る

ってことを知らなければ、マスクを外すって発想にはならないんでしょうね(´_`。)

聞こえにくい人に話しかける時は、口元を見せる

このことをもっと分かってもらえたら助かるな~と、改めて思ったのでした(´・ω・`)

出典:難聴ママのきまぐれ日記

今の時期は特に、花粉症やウイルス対策、咳などでマスクをつけている人がたくさんいますね。難聴の人は、声だけではなく、口の動き、顔の表情、体の動きなど、すべてを見て会話をします。なので、マスクをしていると、表情と口の動きを読み取ることができず、声もくぐもってしまいとても会話し辛いです。また本人からは、花粉症かもしれない人に「マスクを取って?」とは言い辛いのです。

難聴の方と話すときは、そのときだけで良いから、マスクを取って会話をしてあげてください。また、口を隠してしまう癖のある方も、この時だけは隠さないであげてください。

出典:KiraraPost

医療従事者側の考察

医療従事者としてマスクを着用すべきかどうかですが、もちろん感染予防等の観点からマスクは着用するにこしたことはないと思います。ですが、やはりケースバイケースで柔軟な対応をしてもよいかと思います。

大阪医療福祉専門学校の学生の卒業論文に、医療従事者は患者と接する時にマスクを着用することが多いことが前提としたうえで、口唇の動きが見えない状態がどれほどの不利益を被るのかについて調査し、日常会話場面における聴覚障害者のバリアフリー、有用なコミュニケーション方法や問題点について検討する研究がありました。

それによると、「マスクあり」と「マスクなし」の平均得点を比較したところ、25問中マスクありでは11.9点、マスクなしでは17.7点であり,有意差が認められたとのことです。また、話者と面識のある群と面識のない群に分けて比較したところ、マスクがあっても面識があることによる有意差が認められたとのことです。この論文では最後に「医療に従事する者はマスクを外して聴覚障害の患者と接することが望ましい.不可能な場合は表現を豊かに,より丁寧に伝えることを心がけることが大切であると言える.」と締めています。

まとめ

マスクがあるだけでこんなにもコミュニケーションに支障がでる方がいることは伝わりましたでしょうか?

もちろん、すべての聴覚障害者が読話を習得しているわけではありません。しかし、読話ができなくても、口の動きから話し始めや話し終わりがわかるだけでもグッとコミュニケーションがしやすくなると聞きます。

当事者の声でもあったように無理にマスクを取ってほしいわけではありません。口の動きがコミュニケーションの助けになることを知ってほしいということです。

もし、余裕があれば、口の動きが見えるようにマスクを外してコミュニケーションをとってみてはいかがでしょうか?

参考文献

この記事の投稿者

宮崎 関大
宮崎 関大
言語聴覚士。専門は成人聴覚障害。補聴器やコミュニケーション方法についてメインで執筆していく予定。

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