前庭神経炎

風邪の症状から1~2週間して、突然まわりがぐるぐるまわるような激しい回転性めまいが起こる病気です。めまいのなかでも最も強い症状であり、立っていられないほどの発作が起こります。

症状

突然の激しい回転性めまいとめまいによる吐き気、嘔吐がみられます。大きなめまい発作は一度だけですが、回転性のめまいは数日間続き、その間は食事を摂ることや起き上げることも困難になります。1~2週間で自然軽快して通常の生活に戻れますが、軽いめまいは2~3ヵ月、ふらつきやふわふらとした浮遊感は数カ月と長期にわたって残ることがあります。
耳鳴りや難聴などの症状は伴いません(メニエール病との鑑別点)。

原因

今のところ原因は不明です。しかし、主に風邪の症状のあとにめまい発作が生じるので、アレルギー反応が関係しているのではないかと考えられています。

治療

発作後1~2週間

強いめまいや嘔吐のある急性期(発作後1~2週間)は安静が第一です。できるだけ頭を動かさず、めまいが落ち着くまでは横になって安静を保ちます。めまいを抑える抗めまい薬や吐き気止めの薬を点滴や内服で投与します。不安感が強いときには抗不安薬を投与します。また、炎症を抑えるステロイド薬を使用する場合もあります。

発作後2週間~数ヵ月

めまい感の持続する慢性期(発作後2週間~数ヵ月)は、症状に合わせていくつかの薬を併用します。内耳の循環障害が考えられる場合には循環改善薬やビタミン薬、強い不安感を持つ場合には抗不安薬、ウィルス感染が明らかな原因の場合には抗ウィルス薬を処方します。

症状軽快後は運動を取り入れる

前庭神経炎が治っても、損傷した前庭神経の機能そのものは完全には回復しないことが多いと考えられています。しかし、ヒトの体には損なわれた機能を補う代償機能が備わっています。めまいが軽くなったら積極的に運動をして代償機能を活性化させることが大切です。運動をするほどめまいも起こりにくくなっていきますので、無理のない範囲で習慣的に運動を取り入れることをお勧めします。

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