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自閉症と自閉症スペクトラム

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自閉症(autism)

自閉症とは、社会的なルールが苦手、コミュニケーションが苦手、興味にこだわりがある、の3つを主症状とした生まれつきの発達障害です。

自閉症のお子さんによくみられる行動としては、目を合わせようとしない、暗黙のルールがわからない、いつもと違う道順では混乱してしまう、おままごとや人形遊びなどができない、などがあります。

インターネットでは、たまに「自らこころを閉ざしている病気」と書かれていることもあります。しかし、自閉症は生まれつきの脳機能の問題であらわれる発達障害であり、「いじめで自閉症になった」「親の育て方のせいだ」「昔、自閉症だったけど大人になったら治った」などの情報は全て根拠のない間違いです。

自閉症の特徴的症状

自閉症の特徴としては、目を合わせない、他人に興味を示さないなどの対人的な障害、言葉で意思を伝えようとしない、あいまいな表現が苦手などのコミュニケーションの障害、手をヒラヒラとさせる、同じ手順にこだわるなどの常同行動、強いこだわりが主に見られます。

自閉症のお子さんは、上記のような特徴があるために、話し言葉での理解が苦手です。しかし、視覚的な情報収集はとても優れていることが多く、言葉で伝わらない場合は写真やイラストを使って説明すると理解がしやすいと言われています。また、はっきりしていることに強いこだわりがあるため、電車の時刻表が好きだったり、数学や物理の成績がとても良かったりします。

自閉症は、医学的には次の3つの症状が存在している場合に診断されます。

  • 相互的社会的関係の障害
  • コミュニケーション能力の障害
  • 常同的な行動、興味および活動

相互的社会的関係の障害

自閉症の人は対人関係の質的な違いがあります。

  • 周りに人がいても関心を示さず、まるで人がいないかのように振る舞う。
  • 赤ちゃんのころから視線が合わない。
  • 注意を受けて困っているのに笑ってしまう。
  • 同年代の子どもと遊べない。
  • 暗黙のルールがわからない。
  • 人とほとんど関われない、または積極的に関わり過ぎる。など人と上手く付き合うことができない。
  • おままごとや人形遊びなど、象徴的な遊びができない。

コミュニケーション能力の障害

自閉症の人はコミュニケーションの質的な違いがあります。

  • 言葉が出ない、または、言葉があっても他人に意思を伝えるために使用しない。
  • 場面に合っていない言葉を話す。
  • オウム返し(反響言語)や代名詞の逆転がみられる。
  • 話しかけられたことに合った返事ができない。
  • 指差し、目配せなど言葉を使わないコミュニケーションの意味がわからない。
  • 相手の手を使って何かをさせようとする(クレーン現象)。

常同的な行動、興味および活動

自閉症の人は想像力を働かせる部分に障害があるため、変わった行動をすることがあります。

  • ミニカーを一列に並べたり、タイヤをくるくる回して眺めたりそのおもちゃ本来の遊び方をしない。
  • 常同行動(手をヒラヒラさせる、ピョンピョンはねる、ぐるぐる回るなどの行動)を繰り返す。
  • 同じ道を通る、同じ順序でする、ものを同じいつも場所に配置するなど、強いこだわりを示し、変化を嫌う。
  • 教えないのに、標識や数字、アルファベットなどに興味を持ち、カレンダーや時刻表を覚えてしまう。

合併しやすい症状

3つの主症状以外にも、付随症状と呼ばれるさまざまな症状がみられることがあります。必ずみられるわけではありませんが、特徴的なものを紹介します。

多動

手を放すとどこに行ってしまうかわからないといった落ち着きのなさは、自閉症でもよくみられます。この落ち着きのなさばかり目立ってしまい、注意欠陥・多動性障害(AD/HD)と誤って診断されてしまうこともあるほどです。

感覚異常

自閉症では、音や匂い、手触り、痛みなどの感覚を大脳で正しく情報処理できず、奇妙な反応を示すことが多くあります。例えば、「耳ふさぎ」(音への過敏さ)などもその例です。
音は大脳皮質で情報処理されて、こんな音量、こんな音色とか、あのとき聞いた音とか、認識されるわけです。
自閉症では、この情報処理の過程に問題があって、日常のありふれた音を耐え難く認識してしまうことがあります。その子にはふつうの音がガラスを爪でこするようなイヤな音に聞こえるのかもしれません、触覚の異常のために、、木綿の下着を紙やすりのように痛いと感じる子や、痛みに対して極端に鈍感な子もいます。自閉症で多い偏食も味覚や口の中の触覚が関係しているという意見もあります。

睡眠障害

発達障害のある子は、睡眠のリズムの確立が遅れがちで、これもお母さんたちを困らせます。 3才になっても2時間おきに目を覚ますとか、睡眠時間が極端に少ないといったことです。

また、上記症状の他に、約80%に知的障害、約20%にてんかんを合併し、学習障害などの発達障害、二次障害としてうつ病などの精神疾患を合併することもあります。
しかし、障害が合併しても、自閉症の障害特性に配慮した支援をすることが重要です。

自閉症スペクトラム(Autistic Spectrum Disorder:ASD)とは

国際的診断基準では、症状の強さに従って、自閉症、アスペルガー障害、そのほかの広汎性発達障害など、いくつかの診断名に分類されますが、自閉症スペクトラムとは、これらの症状は本質的には同じ一つの障害の単位だという考え方を示す言葉です。

広汎性発達障害の子どもたちは、似たような障害でも、症状の重さや合併症によって違った障害の見え方をします。しかし、典型的には相互的な対人関係の障害、コミュニケーションの障害、興味や行動の偏り(こだわり)の3つの特徴が現れます。なので、それぞれ区別するのではなく、虹の光のように連続しているという考え方が自閉症スペクトラムです。(スペクトラムとは「連続体」の意味です。)

自閉症の症状はひとりひとり違う

自閉症の特徴で説明したように、同じ自閉症といっても症状の現れ方はいろいろあります。

他人への適切な警戒心が育っていないという人づき合いの質的問題が人を避ける形で現れることもあれば、見ず知らずの人へのなれなれしさで示されることもあります。また同じ自閉症でも他人に関心がなく言葉もないような症状の強い子から、ぺらぺらしゃベるけど一方的で自分の場違いさに気づけなくて、「わがまま」「しつけ不足」と誤解されてしまうような軽症の子まで、さまざまな段階が存在します。ですが、病状の現れ方や程度が違っていても、根っこに「3つの主症状」があるなら、必要な援助は共通します。

この記事の投稿者

宮崎 関大
宮崎 関大
言語聴覚士。専門は成人聴覚障害。補聴器やコミュニケーション方法についてメインで執筆していく予定。

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