脳外傷とは

脳外傷とは、外部からの物理的な圧力が加わって、脳に損傷が生じた状態を指し、ヘルメットを着用したオートバイ事故のように、頭部に直接の打撲がない場合でも、強く脳が揺れることにより起こります。

脳組織の損傷状況から、医学的にはびまん性脳軸索損傷、脳挫傷、頭蓋内出血などと診断されます。脳外傷とはこれらの医学的診断名を総称した呼び方です。

頭部外傷は、脳の損傷された状態により開放性脳外傷と閉鎖性脳外傷の2つに分類されます。

開放性脳外傷

外部からの物理的な圧力が直接脳に及んで頭蓋骨が砕け、脳膜も破れて脳実質が破壊されてしまう状態のことを開放性脳外傷、または、穿通性脳外傷と言います。

銃弾が頭に当たって貫通したり、脳内にとどまる場合もこれにあたります。

閉鎖性脳外傷

頭蓋骨には外見上大きな傷がないにもかかわらず、脳が損傷されてしまう状態を閉鎖性脳外傷、または、非穿通性脳外傷と言います。

脳は頭蓋骨によって守られており、さらにクモ膜下腔に詰まっている脳脊髄液が外部からの衝撃を和らげています。しかし、このように保護されていても、脳はとてもやわらかいので頭部に強い衝撃が加わると、脳が頭蓋内で揺れて、頭蓋骨にぶつかって衝撃を受けてしまいます。

多くの場合、衝撃を受けた反対側の脳が損傷され、このような場合を反衝損傷といいます。

頭部外傷では、血腫が脳を圧迫しているため、早期に手術し血腫を取り除けば障害の回復も期待できます。しかし、手術が遅れると、後遺症が残ったり、死亡する場合もあります。

びまん性脳軸索損傷

頭部外傷のうち、受傷直後から6時間を超えた意識消失がある場合を、臨床的にびまん性軸索損傷と定義しています。
通常は、明らかな脳組織の挫滅(ざめつ)(脳挫傷)や血腫がない場合に付けられる病名で、意識のない原因を、脳の細胞レベルの損傷が広範囲に生じたためと考えたものです。

症状の現れ方は、受傷直後から意識はなく、重症例では脳の深部にある生命維持中枢(脳幹)が直接侵され、呼吸が損なわれたり急死することがあります。

びまん性軸索損傷は高次脳機能障害をきたしやすく、知能や記憶などの後遺症が出やすいとされています。

脳挫傷

外傷による局所の脳組織の挫滅(ざめつ)(※ 衝撃によって組織が砕けるような損傷)を脳挫傷と呼びます。通常、脳挫傷はある程度の出血を伴い、出血が塊になって血腫をつくれば、その部位に応じた病名(※ 外傷性脳内血腫など)もつきます。

症状の現れ方としては、脳挫傷からの出血と、挫傷部とその周囲の脳がむくんでくる(脳浮腫)ため、頭蓋骨の内側の圧が高まり(頭蓋内圧亢進)、激しい頭痛、嘔吐、意識障害が現れます。

脳挫傷の局所の症状として、半身の麻痺、半身の感覚障害、言語障害、けいれん発作などが現れることもあります。

多量の血腫ができた場合や、脳浮腫による圧迫で脳ヘルニアの状態にまで進行すると、深部にある生命維持中枢(脳幹)が侵され、最終的には死に至ります。

頭蓋内出血

頭蓋骨の中で発生する出血のすべてを含めて頭蓋内出血といいます。出血する部位によって、硬膜外出血、硬膜下出血、クモ膜下出血、脳内出血などに分けられます。

外傷による血管の損傷の他に、スポーツ時の血圧上昇による血管の破裂、新生児の未成熟な血管の損傷などといった原因により起こります。

症状の現れ方としては、激しい頭痛、嘔吐、意識消失が数分から数時間の間に出現します。出血の量が増えることにより、頭蓋骨内で脳が圧迫され、時間経過とともに症状は悪化していきます。

※ 詳しくは脳血管障害をご参照ください。