吃音の言語症状

吃音には3種類の特徴的な症状があります。一つ目はことばの話し方そのものにみられる言語症状、二つ目は言語症状に連動して身体面に起こる運動や動作などの随伴症状、三つ目は吃音によって引き起こされる情緒の反応や関連するコミュニケーション態度・行動などの情緒性症状です。

言語症状

言語症状は大きく分けて、ひとつの単語内で生じるものと単語と単語の間で生じるものの2つがあります。

ひとつの単語内で生じるもの

  • 音や音節の繰り返し
     「お、お、お、お母さんと行ったよ」
  • 音の引き伸ばし
     「ぼーくの鉛筆」
  • ブロック
     「・・・とけいの針」(ことばの出だしが詰まる)
     「と・・・けいの針」(単語の途中で詰まる)

※ 音や音節の繰り返しのことを「連発(れんぱつ)」、音の引き伸ばしのことを「伸発(しんぱつ)」、ブロックのことを「難発(なんぱつ)」という呼び方もあります。

単語と単語の間で生じるもの

  • 言い直し
     「お兄ちゃんは、お兄ちゃんに買ってもらったの」
  • 挿入
     「これは、えーと、お店で、あのー、買ったの」
  • 単語全体の繰り返し
     「太郎、太郎という子が言ってた」
  • 句の繰り返し
     「そこの机の上の、そこの机の上の、カード」

随伴症状

随伴症状は、発話に伴って反射的又は自動的に体に引き起こされる過剰な筋緊張や動きのことをいいます。
この症状は、吃音が悪化し、ことばが出にくくなってくると目立つようになってきます。また、治療により吃音が改善すると自然と消えていきます。なので、随伴症状はことばが出にくいときに何とか出そうとして行われる対処法という見方があります。しかし、随伴症状によりうまく発話できたといって繰り返し行ってしまうと、随伴症状が固定化してしまうことがあります。

頭部・顔面、構音器官にみられるもの

顔や口元をゆがめる、鼻をふくらませる、表情や口のこわばり、舌が振える、舌打ち、顎の唐突な動き、頭部の前屈運動など。

躯幹や四肢の動き

上体の前屈運動・ゆすり、座面から腰を浮かせる・跳ねる、腕を振る、頬を叩く、指先や足を拍子をとるように動かす、足をゆするなど。

呼吸型の変化

あえぐ、息止め、吸気発声、残気発声など。

情緒性反応

情緒性反応とは、吃音に対する自覚の度合いやどもるかもしれないという不安や恐れ、吃音を避ける行動など、吃音によって引き起こされる思考や感情、行動の反応をいいます。二次性障害を生み出す素地となる反応なので、専門家はしっかりと理解する必要があります。

自覚

自分の話し方がちょっとおかしいと感じたり、話すのがちょっと大変と感じるなど、就学前の子どもはこの程度の自覚をもつことがある。しかし、思春期以降は吃音に対する悩みが強まっていく。

感情的反応

吃音がもたらすネガティブな反応。どもった後の嫌悪感やゆううつな気分など。

予期反応

吃音経験を重ねるにつれ、ことばを言う前に「いつものようにまたどもってしまうのではないか」という予感がしたり、妙な胸騒ぎがしたりするようになること。

不安や恐れ

予期反応により生まれる吃音に対する不安や恐れ。どもることそのものよりも不安や恐れのほうが不快であり、苦痛であると訴える方は多い。

回避行動

吃音を予期し、不安や恐れを抱くと、どうしても吃音を回避したいと思うようになる。そして、苦手なことばや場面を避けようとして、さまざまな工夫をする。

  • 語の言い換えや省略
  • 迂回表現 (「おやつ欲しい」→3時に食べるやつ、欲しい)
  • 挿入語の使用 (「えーと」、「あのー」)
  • 発話そのものの回避

吃音は発達障害?

吃音は話し言葉がつまったり、繰り返したりしまったり「ことばに係わる障害」と認識されてきました。しかし、臨床家の間では、頭のなかでは普通に話すことができること、歌を歌うときには吃音がみられないこと等から「タイミングの障害」なのではないかという考え方も生まれてきました。

また、吃音は「ことばの障害」ということで「身体障害」にあたるという考え方が一般的でしたが、アメリカ精神医学会が出版した「精神障害の診断と統計マニュアル(DSM-5)」や世界保健機関による「疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD-10)」にも吃音の項目があります。さらに国立リハビリテーションセンターも吃音を発達障害と紹介しています。
現在、日本での吃音に対する考え方が変わってきているようです。

この記事の投稿者

宮崎 関大
宮崎 関大
STナビ管理人。言語聴覚士。