誤嚥とは

通常、食べ物を嚥下するときには、食べ物は食道へ流れ込みますが、これが食道ではなく気管に入ってしまう状態のことを誤嚥といいます。

誤嚥をしたときには、激しくむせて誤嚥物を喀出しようとする防御機構が働きます。これを顕性誤嚥といいます。しかし、気管の感覚低下などにより誤嚥してもむせや咳嗽などの反応がない場合もあります。これを、不顕性誤嚥といい、外見上、誤嚥しているか否かが判断できないため、不顕性誤嚥の場合は、誤嚥性肺炎のリスクが高くなってしまいます。

また、誤嚥は、食べ物を飲み込む最中に起こると思われがちですが、原因によって飲み込む(嚥下)動作の「前」、「最中」、「後」と3か所危険なポイントがあります。

嚥下前誤嚥 嚥下中誤嚥 嚥下後誤嚥
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誤嚥性肺炎

誤嚥に伴って肺炎を起こすことを誤嚥性肺炎といいます。
口腔内の細菌が食べ物とともに肺の中に侵入してしまうことが誤嚥性肺炎の最も大きな原因として考えられています。

誤嚥性肺炎の典型的な症状

  • 発熱
  • 激しい咳と膿性痰(のうせいたん=黄色いタン)が出る
  • 呼吸が苦しい
  • 肺雑音がある

これらは風邪と間違えて診断されてしまうことがあり、特に高齢者でこのような症状がある場合は誤嚥性肺炎の可能性を考える必要があります。これらに加えて炎症反応(CRP※上昇、白血球増多など)と胸部レントゲン写真で肺炎像があることで診断されます。

食事をしていなくても誤嚥性肺炎は起こる!?

食べないで口を使わないと、唾液の分泌が減り、また鼻腔・咽頭からの分泌物も嚥下されにくいため、口腔や咽頭は食べているとき以上に汚染し細菌が繁殖しやすくなります。夜間そのような分泌物を誤嚥したり、胃からの栄養物が逆流して誤嚥したりすると、肺炎を起こしやすくなります。高齢者では気道の喀出(かくしゅつ)機能や嚥下反射が弱く、誤嚥したものを排出しにくくなり、また全身の体力や抵抗力も弱っているので肺炎を起こしやすくなります。

通常では誤嚥するとむせますが、むせなかったり、睡眠中に無自覚に唾液や鼻腔粘液が呼吸にともなって、少しずつ気道に入っていく現象がおこります。このように本人の無意識のうちに唾液などを気管に入れてしまうことを、不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)といいます