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無喉頭音声とは

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無喉頭音声とは

喉頭がんや下咽頭がんの根治治療のために喉頭全摘出手術を行うことがあります。この手術を行うと、気管と食道が完全に分離されるために、通常の発声が不能になり、そのため、通常の音声の代わりとなるコミュニケーション方法を取り入れる必要があります。

音声の代わりとなるコミュニケーション方法には、筆談やコミュニケーションボードといった視覚的に意思を伝えるものがありますが、あくまで音声で意思を伝えるものに無喉頭音声という、通常の喉頭での発声のかわりに、機器を使用したり、声帯以外の部位を使用したりして発声する方法があります。

無喉頭音声の種類

無喉頭音声には、笛式人工喉頭、電気喉頭、食道発声、気管食道ろう音声があります。

これらの音声の選択は、全身状態、新声門の狭窄の有無、構音障害の有無、聴覚障害の有無、気管孔の状態、頸部の状態、訓練意欲、コミュニケーションの緊張性、訓練可能な期間条件や希望などと各種音声の特徴から総合的に評価して選びます。

笛式人工喉頭

呼気を気管孔から管に通し、管の中にある振動板を振動させ、その音を口腔内に送って声を出します。

利点は習熟すると声質、抑揚が自然になること、欠点は見た目が目立つことです。

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電気喉頭

電気喉頭の振動板を音源として、頸部に押し当て、頸部から口腔内に音を伝播させて声を出します。

利点は短期間で習得できること、欠点は機械的な声になってしますことです。

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気管食道ろう音声

手術により気管と食道との間にシャントとつくり、発声のときに気管孔を指でふさぎ、呼気を食道に送り、新声門を振動させて声を出します。

利点は呼気により発声するため、長い発声ができること、欠点は手術の必要があることです。

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食道発声

食道内に空気を取り込み、その空気を逆流させて声を出します(ゲップのような感じです)。音源は、新声門(下咽頭食道接合部)を振動させて確保します。

利点は道具を使用しないため不自然にならないこと、欠点は習得が長期になることです。

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食道発声の空気取り込み法

空気の取り込む方法は数種類あります。

注入法

口を強く閉じ、舌をポンプのように動かしながら口腔内の空気を食道に押し込む方法です。

吸引法

吸気時に胸郭が広がり、食道が陰圧になることを利用して、口腔や鼻腔の空気を食道に引き込み方法です。
自然な流れで空気の取り込みが行えるため、なめらかな声を出せる優れた方法といえます。

嚥下法(お茶飲み法)

食べ物などを飲み込むときの嚥下動作を利用して、空気を飲み込む方法です。
お茶などと一緒に飲み込む訓練をすると空気の取り込みが行いやすいため、初めての人には効果的な方法です。ですが、嚥下動作により会話がとぎれがちになったり、空気を食道で止められず、胃まで飲み込んでしまうなどの欠点があるため、この方法は空気の取り込みの感覚がわかるまでとして、クセにならないように注意しながら別の方法に移行させていきます。

この記事の投稿者

宮崎 関大
宮崎 関大
言語聴覚士。専門は成人聴覚障害。補聴器やコミュニケーション方法についてメインで執筆していく予定。

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