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けいれん性発声障害

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けいれん性発声障害(Spasmodic Dysphonia:SD)とは、機能性発声障害の一つで、発声時に声門が過剰に閉鎖される特発性の局所性ジストニアの一種の運動障害です。全機能性発声障害に対するけいれん性発声障害疾患比率は4.9%~8.7%といわれています。

※ ジストニアとは身体の筋肉が不随意に収縮し続ける結果、筋肉がねじれたり、ゆがんでしまって自分の意思通りに動かなくなる病気です。

原因

原因はいろいろな体の動きをコントロールする脳の大脳基底核に障害が起こり、そのため筋肉に意思を伝える中枢神経機能の異常をきたすものと考えられていますが、現在のところ原因ははっきりわかっていません。

分類・症状

けいれん性発声障害は3つのタイプに分類されます。

内転型(adductive type)けいれん性発声障害

声帯が声を出そうとすると過度に内転してしまう内転型けいれん性発声障害といわれるもので、けいれん性発声障害の中では最も多いタイプです。
症状は、呼気の流出が困難となり、締めつけられるような、絞り出すような圧迫性・努力性の声になります。このように不必要に力んだ発声のため、しゃべりかたはとぎれとぎれで円滑さを欠いています。また、単語と単語あるいは文章の段階で発声がとぎれるのではなく、ひとつの単語の中でもとぎれてしまう不自然さがみられます。

外転型(abductive type)けいれん性発声障害

声を出そうとすると声帯が外転してしまう外転型けいれん性発声障害といわれるものです。
症状は、息漏れをおこしているようなささやき声や失声状態がみられ、会話中に不随意・不定期に、または起声とほとんど同時に突然に失声化することがあります。失声化したあとは、なんとか声を出そうと絞り出されるような努力性の声になります。

混合型(mixed type)けいれん性発声障害

内転型けいれん性発声障害と外転型けいれん性発声障害の2つの症状を併せ持ったタイプを混合型けいれん性発声障害といいます。

症状は、外転型けいれん性発声障害と同じ症状を呈します。

すべてのタイプに共通する特徴として、その人の精神状態や発声、会話の状況によって、症状が強くなったり弱くなったりすることがみられます。特に精神的に緊張した状況で症状が強くなる傾向があり、リラックスした状況では逆に症状が軽くなったり、正常な発声である場合があります。

また、独り言や咳、笑い声は正常であることが多いとされていますが、必ずしもそうとはいえず、症状が強くなったり弱くなったりする場面は人それぞれ異なるようで、一概にこの状況なら大丈夫とはいえないようです。

症状は突然発生するため、精神的ストレスがたまりやすく、そのストレスがさらに緊張した状態をつくり、それがさらに精神的ストレスになり・・・と、悪循環に陥り、症状が悪化していく傾向があります。

治療

ボツリヌストキシン注射

現在、世界でも主流となっている方法は、ボツリヌストキシン(ボトックス)注射です。ボツリヌス菌の毒素だけを取り出してごく少量を声帯に注射することで、声帯筋を麻痺させ発声時の筋収縮をおさえる方法です。

ボツリヌス菌そのものではなく、毒素だけを取り出しているため安全でけいれん性発声障害には有効な薬です。ただし、注射の効果は2~3ヶ月ほどしか持続せず、繰り返し注射を行う必要があります。また、ボツリヌストキシン注射は、法律上、薬剤の保管施設が限られており、日本ではごく少数の施設しか行っていません。

手術

手術により治療を行います。代表的な手術としては、甲状披裂筋摘出術と甲状軟骨形成術2型があります。

甲状披裂筋摘出術は、勝手に閉じようとする声帯筋(甲状披裂筋)を手術で摘出する方法です。入院して全身麻酔下で行います。

甲状軟骨形成術2型は、喉頭の軟骨を縦に切開し、左右の声帯を広げ、チタン製の器具で固定します。この手術は、局所麻酔下で声を聞きながら広げる幅を調節できる点、術後声が気に入らない場合はもとに戻すことの出来る可逆的な点、声帯そのものにはダメージを与えないため、他の手術法に比べかすれ声になりにくい点が特徴です。しかし、100%元通りの声が戻るわけではなく、喉頭だけではなくその周囲の筋の緊張(ジストニア)が強すぎる方では有効でないこともあります。

音声訓練

言語聴覚士の指導のもと、自然にため息をつく時には、強い声門閉鎖が起こらず、喉頭の過緊張が起こりにくいということを利用した訓練法などが行われます。即効性はありませんが、注射や手術と組み合わせて症状を改善できる可能性もあります。

この記事の投稿者

宮崎 関大
宮崎 関大
言語聴覚士。専門は成人聴覚障害。補聴器やコミュニケーション方法についてメインで執筆していく予定。

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