ヒアリングループ(磁気誘導ループ)の仕組みと使い方

聴覚障害

補聴器や人工内耳装用者が教室や会議室での発言をしっかり聞くために、また観劇や舞台、映画をより楽しむための装置として、ヒアリングループ(Hearing Loop)という装置があります。
ヒアリングループは国際的な名称で、日本では「磁気誘導ループ」または「磁気ループ」という名称で浸透しています。

ヒアリングループの仕組み

ヒアリングループとは、難聴者の聞こえを支援する装置のことです。学校や公民館、映画館といった施設の床等にループアンテナを設置し、マイクの音を磁気に変え、その磁気を補聴器や人工内耳等が感知して直接音声を聞くことができるようになる仕組みです。
通常の音声による空気伝達では、距離や反射などにより音声が干渉されてしまいますが、磁気を感知し、補聴器や人工内耳に直接音声が入ることで、物理的な距離を無視できる他、反射音や雑音が入らずにクリアに聞くことができます。

マーク



ヒアリングループの設置場所および対応機器を示すマークとして、「T付き耳マーク」があります。
IEC(国際電気標準会議)もこのヒヤリングループを国際共通規格とし、設置場所には共通のマークを掲示することを提唱、汎用的に広く使える補聴システムはヒヤリングループであり他の通信方式ではない、ということを認めています。

使い方

補聴器や人工内耳が磁気を感知するためには「テレコイル」機能を設定する必要があります。通常、補聴器や人工内耳は搭載されているマイクから音を拾いますが、プログラムを「テレコイル」モードに切り替えることで、マイクからの集音はせずに、磁気に変換された話者の音声だけを拾うことができます。
なお、テレコイル機能の有無・切り替え方法などは補聴器の種類によって異なります。購入した販売店に確認しましょう。

様々なタイプのヒアリングループ

ヒアリングループには移動型と設置型があります。
設置型は、公民館や映画館などの床に埋め込まれていることが多いです。設置型のメリットは、どの位置にいても安定した磁界が得られることです。ただし、会場全体ではなく、一部の座席のみループ対応の場合は、席を自由に選べないことが難点です。
移動型は、自分の好きなところにループを設置できます。例えば、ヒアリングループに対応していない劇場や屋外のイベントなど、どこでも好きなところで利用できるメリットがあります。ただし、磁界が安定しないため、補聴器と離れすぎてしまうと聞こえは悪くなっていまいます。

まとめ

ヒアリングループは、補聴器や人工内耳側に特別な機械を用意せずに、プログラムの設定だけで利用できるのでとても便利な装置です。
国際的にも利用されており、日本でも各自治体で導入する施設が増えてきているようです。
ヒアリングループだけでなく他の補聴援助システムも併せて、気軽に利用を選択できる社会になることを望まれます。

参考サイト

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