手話の種類(日本手話、日本語対応手話)について

聴覚障害

手話とは、聴覚障害者の生活の中から生み出されてきた言語で、手や体の動きなどで単語を表現し、それをつなげていくことでコミュニケーションを取る方法です。同じ表現方法でも、表情や口形、位置や方向、強弱などで意味あいを持たせます。

「日本手話」と「日本語対応手話」

手話には、「日本手話」と「日本語対応手話」があります。似たような名称ですが、どこが違うのでしょうか。

日本手話(japanese sign language:JSL)

日本手話とは、昔から伝えられてきた「伝統的手話」とも呼ばれるろう者同士のコミュニケーションの手段として使われている独自の文法体系を持つ言語です。日本語の文法や構成とは大きく異なり、その語彙数は4,000~5,000語と言われています。しかし、位置関係や手指の動きや大きさ、速度、視線の向き、表情などを含めた連続的な動きにより日本語における助詞や助動詞、副詞、形容詞などの要素も表現でき、かなり複雑な内容も伝達することができます。

ろう者は自然言語的に日本手話を学んできた背景から、母国語を日本手話とする考え方があります。この考え方から、日本語や日本語対応手話を扱うろう者の方々はバイリンガル(2か国語使用者)であるとみる意見もあります。

日本手話を母国語とするろう者は、日本手話と日本語対応手話を相手や場面に応じて使い分けたり、併用したりしています。

日本語対応手話(manually coded japanese:MCJ)

日本語対応手話とは、日本語に手話単語を1語1語合わせて考えられたものです。日本語の文章に合わせて手話の単語を並べていくため、中途失聴者や健聴者に受け入れやすい傾向があります。また、手話を行う際は、口も一緒に動かして助詞や助動詞などを補足していきます。新しい単語や手話表現が作られていない単語は50音を1文字ずつ指の動きで表現する指文字を用いてコミュニケーションを図ります。

近年では聴覚障害者の日本語能力の向上やメディアなどに手話が多く取り上げられた結果、若い世代の聴覚障害者を中心に日本語対応手話が急激に普及しました。また、年々新しい手話も考案され、語彙数も増加しています。現在、手話サークルなどで勉強する手話は、この日本語対応手話がほとんどです。

指文字

指文字は、日本語の50音をすべて指の動きで表現するコミュニケーション方法です。1音ずつ伝えていくため、伝える側も読み取る側も大変ですが、新しい単語や手話表現がわからないときなどに便利です。

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