あいうべ体操とは
私たちは、正しく鼻で呼吸している時は、舌の表面は全体が上あご(硬口蓋)にピタリとついています(高位舌)。舌は舌筋という筋肉でできていて、この筋力が弱ければ口を閉じた時に舌の位置が1センチほど下がり、下の歯の裏側につくようになります(低位舌)。舌が下がれば気道が狭くなって、イビキをかくようになるのです。
こうした状況を改善するためには、次の2点が重要です。
- 口を閉じる筋肉を鍛える(下顎骨=大人で約1キログラムを支える筋力)
- 舌を本来の位置に引き上げる(低位置にある舌を高位置に戻す)
この目的を達成するために、みらいクリニック今井一彰院長先生が考案されたのが「あいうべ体操」です。
いまの舌の位置はどこ?
口を閉じているとき、あなたの舌はどこに接していますか?
- 口蓋
- 上顎前歯の舌側
- 上下の前歯の間
- 下顎前歯の舌側
理想は1.口蓋に接している状態です。数字が大きくなるに連れ、舌筋の力が低下していると考えられます。そして舌筋の低下は、口呼吸を招きます。
口呼吸になると、唾液分泌の低下や口腔乾燥を引き起こすとともに、局所や全身の免疫力が低下します。
その結果、
- むし歯・歯周病・口内炎・口臭
- インフルエンザ・扁桃腺炎・気管支炎
- いびき・閉塞性睡眠時無呼吸症
- 扁桃病巣感染症 (アトピー性皮膚炎・関節リュウマチ・腎臓疾患・掌蹠膿疱症)
などの原因となると言われています。
イラスト:真生会デンタルクリニック引用
口呼吸を鼻呼吸に!
現代人の90%が口呼吸をしていると言われています。口呼吸をしていると、冷たく乾いた空気が咽頭や喉頭を通り粘膜を痛めたり、口の中が乾燥して悪玉菌が繁殖しやすくなったりとマイナスの影響がみられます。
口呼吸を鼻呼吸に改善することで、次のようなメリットがあります。
- 繊毛(鼻毛)と粘膜によって空気は濾過され、異物は鼻水とともに排泄される
- 副鼻腔で取り込んだ空気の湿度や温度が調整される
- 鼻腔でブロックできなった異物が上咽頭で捕捉される
口呼吸の改善は、あらゆる病気の原因治療につながります。そのため、「あいうべ体操」をしっかり継続している人は、自然に鼻で呼吸ができるようになり、症状も改善していきます。
「あいうべ体操」の手順
次の4つの動作を順にくり返します。声は出しても出さなくてもかまいません。
- 「あー」と口を大きく開く
- 「いー」と口を大きく横に広げる
- 「うー」と口を強く前に突き出す
- 「ベー」と舌を突き出して下に伸ばす
イラスト:歯科たけむらクリニック引用
1項目10秒程度、1セット1分程度とし、1日30セットを目安に毎日続けます。
この体操は、真剣に行うとかなり疲れます。慣れるまでは、2~3度に分けたほうが続けやすいでしょう。入浴時にやるのがおすすめです。また、「あいうべ体操」は、しゃべるときより口をしっかり、大きく動かす必要がありますが、無理は禁物です。
とくに顎関節症の人やあごを開けると痛む場合は、回数をへらすか、「いー」「うー」のみをくり返してください。この「いー」「うー」体操は、関節に負担がかからないため、何回行ってもけっこうです。
「ベー」がうまくできない人は、大きめのあめ玉をなめて、舌を運動させましょう。舌運動と甘味の刺激で、脳も活性化します。
「あいうべ体操」の効果
「あいうべ体操」はテレビの情報番組でも紹介され、実際に「あいうべ体操」を取り入れた小学校では、インフルエンザの罹患率が例年と比べて大幅に低下したとの報告がありました。
ちなみに、インフルエンザ等感染症の予防の他にも、顔のたるみ、ホウレイ線が気になる方にも効果があるようです。
免疫を高めて病気を治す口の体操「あいうべ」 [ 今井一彰 ] |