構音の発達や仕組み、異常などを説明します。
構音の仕組み
ことばを発するのに用いられる器官(舌や上顎、唇など)のことを構音器官といいます。ことばとは、この構音器官の動き・位置により作られていきます。
例えば、「ま」という音を発音するときには、唇は一度閉じてから再び開きます。これは、唇を閉じることで子音「m」を作っているのです。そのため、唇を閉じることなく「ま」を発音しようとしても「あ」と違った音になってしまいます。また、「ら」という音を発音するときには、舌を勢いよく弾くことにより発音しています。そのため、舌を弾けないように口の外に出して発音しようとすると「ら」に近いですが歪んだ別の音になってしまいます。このように、唇の動きや舌の動き・位置によりそれぞれのことばは作られています。
構音の発達
構音の発達には順序があり、母音の完成が早く、3歳ほどで実用的なレベルになります。子音は音によって習得に差があり、「ぱ、ば、た、だ、か、が、わ、は、ま、な」は早く習得し、「さ、ざ、ら、ちゃ」は遅れて習得していきます。すべての音が正しく構音できるようになるのは、個人差がありますが、大体6,7頃になります。
子どもは正しい音が構音できるまでの間、自分のレパートリーの中から口の動きが近い音を代わりに構音します。また、音とことばの関係が未熟なため、単語を短く発音したり(みかん→かん)、音が入れ替わったり(エレベーター→エベレーター)、同じ音を使ったり(はっぱ→ぱっぱ)します。
この発達の途中に見られる音の誤りは、発達に問題がなければ、成長とともに徐々になくなっていき、自然に正しい音に習得されていきます。
構音障害とは
構音障害とは、構音器官の動きがある程度誤って固定化してしまい、正しい発音ができない状態をいいます。
構音障害は、原因となる症状により3つの種類に分けられます。
機能性構音障害
構音器官や神経、筋に異常がないのに正しい発音ができない構音障害
器質性構音障害
口や顎などの構音器官に異常があり正しい発音ができない構音障害
運動障害性構音障害
脳や神経、筋の異常により正しい発音ができない構音障害
構音に関係する要素
共鳴
喉頭から口唇までの管(共鳴腔)の形を変化させて、喉頭で発せられた音声にそれぞれの特性を与えて母音を区別したり、鼻咽腔閉鎖機能により、鼻音と非鼻音を区別したりします。
共鳴の異常とは、鼻咽腔閉鎖不全による母音の鼻音化がみられる『開鼻音』と口蓋裂術後の「ま・な・が」が「ば・だ・が」になってしまうような『閉鼻音』があります。
プロソディー
イントネーションやアクセント、リズム、持続、音声強度、発話速度などのことです。
イントネーション
呼気段落と呼ばれる、一息で発話されるひとまとまりの連続に対してかぶさる音の高低の変化を音調と呼びます。
一文の音調を特に文音調(イントネーション)と呼びます。
アクセント
呼気段落より普通は小さい連続である、語又は語を付属語のまとまりに対してかぶさるものです。
音の高低を用いる場合は『ピッチ』、音の強弱を用いる場合は『ストレス』
リズム
ある発話において、音の強弱、高低、長短などの聞こえに関する一定のパターンが繰り返され、それらのパターンがほぼ等しい時間で現れるとき、そこにはリズムが感じられます。
日本語では、一般に『モーラ』となります。