デジタルワイヤレス補聴援助システム「ロジャー」

補聴器は、話者との距離が離れたり、周囲が騒がしかったりすると、聞きにくくなる傾向があります。これは補聴器や人工内耳のマイクの集音性能が約1～2mと言われているからです。
これらの問題を改善するための機器が補聴援助システムです。話者がワイヤレスマイク等を使うことで、距離を無視して話者の音声を減衰させることなく補聴器に直接届けます。

補聴援助システムには「ヒアリングループ」、「FM補聴システム」、「デジタルワイヤレス補聴システム」といくつかあります。今回は話題のデジタルワイヤレス補聴システム「ロジャー」を調べてみました。

ロジャーとは
受信機の例
送信機の例
特徴
まとめ

ロジャーとは

フォナックより発売されている2.4GHz帯のデジタル無線方式を採用したデジタルワイヤレス補聴援助システムです。
話者が使用する「送信機（ワイヤレスマイクロホン）」と、補聴器ユーザーが使用する「受信機」で構成されています。

従来のFM電波と比べ、デジタル無線方式を採用することで高音質の音声を届けることができ、また、フォナック独自のテクノロジーで指向性や騒音抑制を行い、音声をよりクリアにすることが実現しました。

受信機の例

一体型

補聴器とロジャー受信機を一体にすることができるタイプです。
フォナック製の耳かけ型補聴器（一部）や主要な人工内耳であれば、補聴器・人工内耳に直接接続可能な一体型の受信機が使えます。

電源は補聴器・人工内耳から供給されるので、補聴器・人工内耳の電池寿命が短くなるデメリットはありますが、本体サイズが気持ち長めになるくらいで別途受信機等を付ける必要がないのが良いです。

ネックループタイプ

テレコイル（Tコイル）内蔵の補聴器・人工内耳に対応した受信機（ロジャーマイリンク）を首にかけて使用します。
補聴器のプログラムに「テレコイル」モードを設定し、ロジャー使用時にプログラムの切り替えを行います。
テレコイル内蔵であれば、補聴器の機種にこだわることなく利用できますが、ロジャーマイリンクを首にかけておくので邪魔に感じることもあります。

ユニバーサルタイプ

耳かけ型補聴器や人工内耳にオーディオシューやアダプタを取り付け、そこにユニバーサルタイプの受信機（ロジャーエックス）を接続します。
一体型に比べると受信機のサイズが大きくなりますが、ネックループタイプのように首周りが邪魔になることもありません。

各補聴器メーカーが展開しているワイヤレスアクセサリに接続することで、耳あな型補聴器やオーディオシューの取り付けられない小型耳かけ型補聴器でも使用することができます。

送信機の例

ロジャーペン

ペン型の送信機。手で持ち易く、ポケットにも挿せ、首からかけることもできます。縦に向けると指向性マイクが働き、マイクを向けた方向の音源を積極的に集音します。横向きにして卓上に置くと無指向性になり、全方向の音を集音します。
Bluetooth機能を搭載しており、スマートフォンのハンズフリー通話やテレビへの接続も可能です。

ロジャータッチスクリーン

スマートフォンのようにタッチ操作可能な液晶型受信機。
全面液晶なので受信状況がわかりやすく、教育現場での先生や保護者が操作しやすいように考えられています。画面上で、接続状態の確認や、グループでのネットワーク形成、外部入力を使ったリスニングテストでの活用など様々な場面が想定されます。

ロジャーセレクト

円形で手のひらサイズの受信機。周囲6方向にマイクが設置されており、補聴器ユーザーが聞きたい方向を”選択（セレクト）”して使用します。これにより、騒がしいところでも、会話したい相手の方向を選択することで周囲の音に邪魔されずに会話をすることができます。
Bluetooth機能が搭載されており、スマートフォンでのハンズフリー通話やテレビアダプターへの接続など、汎用性が高く大変便利な製品です。
ロジャーセレクトは、主に成人（高校生以上）の方が、職場や学校などで使用されることを想定しています。