日本言語聴覚士協会:新型コロナウイルス感染症にかかる臨床業務における基本的対応事項を公開

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2020年4月13日付で日本言語聴覚士協会から新型コロナウィルス感染症にかかる臨床業務における基本的対応事項が公開されました。
それぞれ職場において対応の仕方はあるかと思いますが、協会の対応事項も参考にしながら日々の業務を行えればと思います。

基本的事項

対象者と言語聴覚士の健康と安全確保の観点に立ち感染予防のため、臨床業務においては以下の事項について十分に留意するとともに、主治医の指示のもと、施設で定められたルールに則り、慎重に実施することを基本的な方針といたします。

1.実施環境における留意点

1) 密閉環境での臨床を避ける

(1)言語聴覚室(訓練室)は施設基準から狭くかつ密閉状態にあり、感染リスクが高いため訓練は病棟、談話室など開放的な環境下で行うなどの工夫を検討する。
(2)言語聴覚室を使用する場合は、訓練中も換気扇の使用、窓やドアなどの開放によって換気に努める。また、訓練終了後はドアや窓の開放による室内換気を行うとともに訓練と訓練の間隔をあける。
(3)小児プレイルーム使用においては分散使用により密集状態を避ける。
(4)訓練室内に入室する人数(対象者と付き添い1名など)を制限する。

2) 教材・検査器具などの消毒について

(1)評価や訓練に用いた器具・機材(筆記用具、検査器具なども)や教材は訓練の度に消毒するか、その日の訓練終了時に消毒管理する。小児においては訓練に用いた玩具なども同様に扱う。
(2)評価や訓練に使用した机や椅子は消毒する。また、訓練室のドアノブ、手すりなど触れることの多い箇所の消毒も行う。
(3)電子カルテなどの記載などで多数の職員でパソコンやタブレットを使用する場合は、使用の前後に手洗いを徹底する.

2.臨床実践における留意点

1) 臨床前の準備

(1)言語聴覚士は訓練前後に手指消毒を行う。消毒用薬剤に対する禁忌(傷なども含む)がない場合は患者も同様とする。
(2)臨床においてはマスクや手袋を着用するほか、状況によってはフェイスシールド、ゴーグルも用いる。咳やくしゃみを頻発する場合は、対象者にもマスクの着用をお願いする。
(3)訓練前には体温や呼吸状態など体調確認に努める。

2) 臨床実施

(1)臨床では飛沫に注意し患者と適切な距離を保つ。
(2)評価・訓練時に教示のために口形呈示や模倣が必要な場面でもマスクを外さない。
(3)口形呈示などが必要な場合は、指示・教示のための文字や図、動画の活用などの工夫を行う。
(4)飛沫やエアロゾル発生の可能性のある評価・訓練手技は極力避ける。ただし、これらの対応により不可逆的な機能低下が予測される症例については、医師の指示を仰ぐ。
・発声発語器官への接触により嘔吐や咳の誘発、咳嗽や分泌物の喀出などを伴う可能性のある手技
・強い呼気や破裂を伴う運動など
・大きな声を出す訓練や歌唱などは対象者もマスクを着用し、最小限に行う。
・直接的嚥下訓練や吸引など
(5)口腔器官の模倣運動や構音訓練などは動画やプリントを活用するなどの工夫をする

3.その他

・施設の方針や患者の状態によってはスタンダードプリコーション(ガウン・フェイスシールド)の指示もあるため、ガウンテクニックなどを熟知しておく。
・情報共有のため訓練環境や対象者の状況について感染防止上の問題点をリスト化しておく。

以上

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