聴覚障害者向けの情報保障機器と日常生活用具

聴覚障害
k 030

聴覚障害者が日常生活を円滑に送るために、世の中には便利な機器がたくさんあります。
例えば、インターホンや電話のベル音を光で知らせてくれる装置や時刻をアラーム音の代わりに振動で知らせてくれる目覚まし時計などです。
これらは生活を過ごしやすくしてくれる情報保障機器と呼ばれています。

情報保障機器

屋内用信号装置

インターホンや電話機などに接続することで、来客や電話・FAXの着信を光や振動で知らせてくれる装置です。

壁に取り付けて室内全体を照らして知らせてくれる据え置き型と腕時計の形やポケットサイズで家の中ならどこに居ても振動で知らせを受け取れる持ち運び型があります。

FAX、福祉電話、電話機用アンプ

文字によるやりとりが可能なFAXや福祉電話、電話の声を増幅できる電話機や受話器用アンプがあります。

メール、テレビ電話

スマートフォンの普及により、メールやチャットなどでのコミュニケーションが急速に発展しました。また、スカイプやLINEなどのサービスで無料でテレビ電話ができるようになったため、特別な機器を購入しなくても手軽にテレビ電話を使って手話での会話をできるようになりました。

携帯用信号装置

病院や銀行の窓口や家庭などで、呼び出しや合図に使う装置です。ポケットに入る小さいサイズなので邪魔にならずに持ち運びできます。

病院や銀行などで使用する場合は、窓口の方に使い方を説明して理解してもらう必要があります。

字幕放送

近年のテレビは字幕放送が標準で選択できるようになっています。リモコンで簡単に設定ができます。

筆談器

持ち運びに便利な携帯用ホワイトボードから駅や銀行の窓口に置いてある砂鉄を利用した筆談パッド、最近では会社員が会議等のメモ用に開発された電子パッドなど、多くの筆談器があります。

また、筆談器はすでにある商品で代用できることもあり、100円ショップのホワイトボードやipadやスマートフォンのメモアプリも筆談器として使うことができます。

振動式時計

時刻を振動により知らせてくれる時計です。日常生活でも使える腕時計型と据え置き型、目覚まし用にベッドシェーカーがついたものもあります。

据え置き型や目覚まし用は振動の他に光や大音量など自分に合った設定を選べます。

磁気ループ

磁気ループとは、補聴器にT-コイル(テレコイルまたはテレホンコイルともいいます)が内蔵されている場合に補聴器のプログラムを【Tモード】にすることで、周囲の環境音を気にせず、テレビや電話、オーディオ機器などの音を直接聞くことができる装置です。周囲の人の話し声や環境音などが入らず、音響機器の音を直接聞けるので、よりクリアに聞くことができます。

磁気ループは、ろう学校や一部の公民館、映画館などに設置されています。映画館では席の指定があったり、公民館では携帯用の磁気ループを貸し出していたりと、建物全体に磁気ループを設置しているところは少ないので、利用する場合は施設に問い合わせると良いと思います。

ヒアリングループ(磁気誘導ループ)の仕組みと使い方
補聴器や人工内耳装用者が教室や会議室での発言をしっかり聞くために、また観劇や舞台、映画をより楽しむための装置として、ヒアリングループ(Hearing Loop)という装置があります。 ヒアリングループは国際的な名称で、日本では「磁気誘導ル...

日常生活用具

日常生活用具とは、障害者が日常生活を自立した状態で円滑に過ごすために必要な機器のことをいいます。また、日常生活用具は市町村に申請することで、購入にあたり公費の助成を受けられます。これを日常生活用具給付制度といいます。

上で紹介した情報保障機器のなかにも、制度の対象となる機器があるので市区町村障害福祉担当課で問い合わせください。

定義

日常生活用具の定義は、厚生労働省が以下のように示しています。

  • 障害者等が安全かつ容易に使用できるもので、実用性が認められるもの
  • 障害者等の日常生活上の困難を改善し、自立を支援し、かつ、社会参加を促進すると認められるもの
  • 用具の製作、改良又は開発に当たって障害に関する専門的な知識や技術を要するもので、日常生活品として一般に普及していないもの

対象者

日常生活用具の給付対象者は、身体障害者手帳を所持している方になります。また、用具の種類によっては等級の制限を設けているものもあります。

日常生活用具の例

種目 区分 対象者 内容 基準額 耐用年数
屋内信号装置 給付 18歳以上の身体障害者手帳の交付を受けた者で、聴覚障害に係る障害の程度が2級のもの(聴覚障害者のみの世帯およびこれに準ずる世帯で日常生活上必要と認められる世帯に限る。) 音、音声などを視覚、触覚などにより知覚できるもの 87,400円 10年
聴覚障害者用ラジオ 給付 学齢児以上の身体障害の手帳の交付を受けた者(児)で、聴覚障害に係る程度が2級、3級のもの FM文字多重放送が受信できるもの 19,000円
フラッシュベル 給付 原則として学齢児以上の身体障害者手帳の交付を受けた者(児)で、聴覚または音声、言語機能障害に係る障害の程度が3級以上のもの 聴覚障害者(児)が容易に使用し得るもの 12,400円 10年
携帯用信号装置 給付 原則として学齢児以上の身体障害者手帳の交付を受けた者(児)で、聴覚または音声、言語機能障害に係る障害の程度が3級以上のもの 送信機による合図が、視覚、触覚などにより知覚できるもの 20,200円 6年
会議用拡聴器 給付 原則として学齢児以上の身体障害者手帳の交付を受けた者(児)で、聴覚障害に係る障害の程度が4級以上のもの 聴覚障害者(児)が容易に使用し得るもの 38,200円 6年
聴覚障害者支援具 給付 身体障害者手帳の交付を受けた者(児)で、聴覚障害に係る障害があるもの 振動・光などを利用し、聴覚障害者(児)の日常の生活に利便をもたらすもの 100,000円 8年
聴覚障害者用情報受信装置 給付 身体障害者手帳の交付を受けた聴覚障害者(児)で、必要と認められるもの 映像、字幕および手話通訳付き番組並びに災害時の聴覚障害者向け緊急情報などを受信し、かつ地上波放送に字幕および手話通訳を合成する機能を有するもの 88,900円 5年
聴覚障害者用通信装置 給付 原則として学齢児以上の身体障害者手帳の交付を受けた者(児)で、聴覚または音声、言語機能に著しい障害を有する者(児)で、コミュニケ-ション、緊急連絡などの手段として必要と認められるもの 一般の電話に接続することができ、音声の代わりに、文字などにより通信が可能な機器であり障害者(児)が容易に使用し得るもの 71,000円 5年
福祉電話 貸与 18歳以上の身体障害者手帳の交付を受けた難聴者または外出困難な者(原則として2級以上)であって、コミュニケーション、緊急連絡などの手段として必要性があると認められるもの(障害者のみの世帯およびこれに準ずる世帯で、前年分の所得税が非課税の世帯に限る。) 障害者が容易に使用し得るもの 83,300円

紹介した日常生活用具の種類はあくまで一例です。日常生活用具の種類は市区町村により異なります。詳しくはお住まいの市区町村障害福祉担当課にお問い合わせください。

タイトルとURLをコピーしました