補聴器購入に際する福祉制度や医療費控除

聴覚障害

補聴器の購入に当たり、助成金を支給される福祉制度があります。
1つ目は身体障害手帳を所持している方を対象とした「補装具費支給制度」、2つ目は身体障害者手帳を所持していない児童を対象とした「軽度・中等度難聴児補聴器購入費助成事業」、3つ目は身体障害者手帳を所持していない高齢者を対象とした「高齢難聴者補聴器購入費用助成事業」です。
また、福祉制度ではありませんが、確定申告の際に補聴器購入費を医療費として申告できる医療費控除もあります。
購入を考えている方は参考にしてください。

補装具費支給制度

身体障害者手帳の聴覚障害の等級を所持している障害者及び障害児を対象とした助成制度です。

身体障害者手帳の聴覚障害の等級は以下のとおりです。

等級 解説
1級  
2級 両耳の聴力レベルがそれぞれ100dB以上のもの
(両耳全ろう)
3級 両耳の聴力レベルが90dB以上のもの
(耳介に接しなければ大声語を理解し得ないもの)
4級 1.両耳の聴力レベルが80dB以上のもの
(耳介に接しなければ話声語を理解し得ないもの)
2.両耳による普通話声の最良の語音明瞭度が50%以下のもの
5級  
6級 1.両耳の聴力レベルが70dB以上のもの
(40センチメートル以上の距離で発声された会話が理解し得ないもの)
2.一側耳の聴力レベルが90dB以上、他耳の聴力レベルが50dB以上のもの
難聴による身体障害者手帳の取得について
身体上の障害が認定された方に対して交付される手帳であり、手帳を所持していることで各種福祉サービスを受けることができます。 身体障害者手帳で利用できるサービス 税金の控除、交通機関の運賃の割引、美術館や博物館などの公共施設の入...

申請は実施機関である市役所・区役所の障害福祉課にて行います。
市役所・区役所障害福祉課は都道府県の身体障害者更生相談所に判定を依頼し、判定の結果、補装具費の支給が決定されます。

※補装具費支給制度の流れ

  1. 身体障害者手帳・印鑑をもってお住まいの市区町村障害福祉担当課へ行き、「補装具費支給申請書」をもらいます。
    そのとき、病院の指定を受けます。
  2. 指定された病院を受診し、「補装具費支給診断書・意見書」を書いてもらいます。
    ※ 診断書料がかかる場合があります。
  3. 「補装具費支給申請書」を持って補聴器販売店に行き、見積書を作ってもらいます。
  4. 障害福祉担当課へ「補装具費支給申請書」、「補装具費支給診断書・意見書」、「補聴器の見積書」を提出します。
    ※ 補装具費の支給には判定の適否があります。
  5. 判定の結果、認められれば「補装具費交付券」が交付されます。
  6. 「補装具費支給券」に必要事項を記入して、補聴器販売店へ行きます。
    「補装具費支給券」と自己負担金を支払い、補聴器を購入できます。

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助成額は、補装具の購入又は修理に要した費用の額(基準額)の原則1割です。ただし、世帯の所得に応じ、負担上限月額が設定されます。

  • 生活保護世帯に属する者 0円
  • 市町村民税非課税世帯 0円
  • 市町村民税課税世帯 37,200円

福祉用具/厚生労働省

障害者総合支援法を利用して補聴器購入の助成を受ける方法
身体障害者手帳をお持ちの方は、補聴器を購入する際に購入費用の助成を受けることができます。どのような手続きが必要か、助成の流れをご説明します。 身体障害者手帳の利用とは 身体障害者手帳の聴覚障害の等級を取得している方は...

軽度・中等度難聴児補聴器購入費助成事業

身体障害者手帳の聴覚障害の等級を所持していない18歳未満の児童を対象とした助成事業です。

この事業は都道府県単位または市町村単位で独自に行われている事業であり、全国一律のものではありません。従いまして、ここでの説明もあくまで一自治体の例を参考までに記載するものです。

対象児はおおむね以下のとおりです。

  • 18歳未満の児童であり、両耳の聴力レベルが原則として30dB以上70dB未満。
  • 補聴器の装用により、言語の習得等一定の効果が期待できると医師が判断するもの。

申請窓口は、市町村の障害福祉課や療育支援課、保健所など。助成額は、補装具費支給制度に準じるところや独自に定めているところなど都道府県や市町村によって異なります。

高齢難聴者補聴器購入費助成事業

身体障害者手帳の聴覚障害の等級を所持していない高齢者を対象とした助成事業です。

この事業は市町村単位で独自に行われている事業であり、全国一律のものではありません。従いまして、ここでの説明もあくまで一自治体の例を参考までに記載するものです。

対象者はおおむね以下のとおりです。

  • 身体障害者手帳を所持していない65歳以上の者。
  • 医師により難聴のため補聴器が必要と証明された者。

申請窓口は、市町村の障害福祉課や高齢者福祉課、保健所など。助成額は、補装具費支給制度に準じるところや独自に定めているところなど市町村によって異なります。

全日本年金者組合HP:「補聴器購入資金助成制度実施地方公共団体」に全国の実施状況一覧が掲載されています。

医療費控除

自費で補聴器を購入した場合に、確定申告により医療費控除を受けられる可能性があります。

補聴器相談医が「補聴器適合に係る診療情報提供書(2018)」において“医師等による診療や治療を受けるために直接必要”と意見をした場合、医療費控除の対象となります。


補聴器相談医とは、日本耳鼻咽喉科学会が設けている認定制度です。日本耳鼻咽喉科学会のHPに名簿が掲載されていますので、補聴器購入前には、補聴器相談医の診察を受けることをお薦めします。

まずは医師に相談

いずれの場合も、医師による診察、検査、補聴器の適応の意見が必要になります。ですので、補聴器の購入を考えている場合はまずは医師に相談することから始めましょう。

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