外耳は耳介と外耳道から作られる器官です。
外耳の代表的疾患を説明します。
耳介奇形
生まれつきの耳介の形成不全です。耳介が全くない耳介欠損から通常よりも耳介が小さい小耳症など、奇形の程度は様々です。
外耳道閉鎖症や中耳奇形を合併することがあり、鑑別検査が必要になります。
治療
治療としては、奇形の程度に応じて耳介形成術を行います。手術時期は、耳介の大きさがほぼ成人の大きさとなる7歳以降に行われます。
外耳道閉鎖症
生まれつき耳の穴がない先天性のものと外傷や炎症による後天性のものがあります。
先天性外耳道閉鎖症は、胎生期の外耳道の発生に障害があった場合に耳の穴が閉鎖して皮膚で被われ、骨部外耳道がまったく形成されない状態です。
症状
主な症状は外耳道の閉鎖による伝音難聴です。外耳道、耳介、中耳は解剖学的に近接しており、発生学的にも関係が深いので、先天性外耳道閉鎖症、小耳症、耳小骨奇形を伴いやすいです。
治療
治療としては、補聴器による音情報の確保となります。特に先天性の両側外耳道閉鎖の場合は、言語発達の面から早期にCORやABRで聴力検査を行い、補聴器による療育が必要となります。
補聴器は骨伝導を利用した骨導補聴器や側頭骨に埋め込むBAHA、軟骨伝導を利用する軟骨導補聴器を選択します。一側性の外耳道閉鎖の場合は、反対側の聴力が正常であれば補聴器の装用は不要です。
先天性の場合、耳介奇形を伴っている場合が多いため、耳介形成術の時期(7歳以降)に合わせて外耳道形成術を行います。中耳の状態がよく、内耳機能に異常がない場合は手術を行うことで両耳から音を聞くことができるようになり、方向感や立体感が期待できます。聴力の改善が期待できない場合でも、外耳道を形成することで耳かけ型や耳あな型といった通常の補聴器の適応になるので、積極的に手術を検討していきます。
外耳炎
感染による外耳道の炎症です。耳痛や耳漏等の症状が見られます。
治療
治療は、抗生物質の投与です。
帯状疱疹
帯状疱疹ウイルスによる感染症です。主な症状は耳介、外耳道に紅斑、水疱性皮疹が見られ、顔面神経麻痺が現れます。内耳神経も障害されると感音性難聴や平衡障害も現れます。
治療
治療は抗ウイルス剤の投与です
耳垢栓塞
外耳道内の古くなった皮膚が耳垢や皮脂と一緒になって固まり、外耳道を閉鎖してしまうものです。主な症状は外耳道が閉鎖されることにより起こる伝音難聴です。
治療
治療は、耳垢の除去です。固くなりすぎている場合は、薬剤で軟らかくしてから除去します。
外耳湿疹
外耳道皮膚の湿疹病変です。アレルギーなどの体質的要因や中耳炎の耳漏、痒みのために外耳道を頻回に触るといった物理的刺激が原因で起こります。
治療
治療は、患部の清掃とステロイド軟こうの塗布です。痒みがあるため、何度も触りなかなか治癒しないことが少なくありません
外耳道異物混入
外耳道に異物が混入してしまった状態です。小児では意図的に異物を挿入する事例が多く、成人の場合は昆虫が外耳道内に侵入してしまう事例が多いです。
治療
主な症状として、伝音難聴と耳痛、異物感です。昆虫が侵入した場合は、昆虫の動きにより耳痛が生じます。