義肢装具士(PO:Prosthetists and Orthoists)とは、リハビリテーションスタッフの一員として、医師の指示のもとに、義肢・装具の装着部位の採型・設計・製作・身体への適合を行い、患者のすみやかな社会復帰につとめることです。
患者ひとりひとりに最適なものを提供するため、装着部分の採型・採寸・補装具の制作・できあがった補装具の装着・適合・状態の調整・装着後のリハビリテーションを行います。
義肢・装具とは
義肢は「切断により四肢の一部を欠損した場合に、元の手足の形態または機能を復元するために装着、使用する人工の手足」であり、大別すると上肢切断に用いる義手と下肢切断に用いる義足に分類され、さらにそれぞれ切断部位別に分けられます。
装具は「四肢・体幹の機能障害の軽減を目的として使用する補助器具」であり頭部から足部までやはり部位別にさまざまなものがあります。
装具では医学的治療の手段として使用される治療用装具と、医学的治療終了後に機能障害等の症状が固定した場合に日常生活活動等の向上のために使用される更生用装具があります。
義肢装具士の仕事
義肢・装具は、切断された手足や患部によりよく適合し、機能がすぐれ、かつ不快感のない耐久性のあるものが要求されます。単に義肢・装具を製作するだけでなく、作製した義肢・装具を適合させる身体と機器のインターフェースの役割を担うため、義肢装具士には医学と工学などの幅広い知識と高度な専門知識や技術が必要です。
義肢装具士になるには
義肢装具士は、国の定める国家資格になります。したがって、義肢装具士国家試験に合格すると免許が与えられます。
国家試験の受験資格を得るには、次の3つの方法があります。
- 大学に入学することができる者で文部科学大臣が指定した大学または厚生労働大臣が指定した義肢装具士養成所で3年以上義肢装具士としての知識及び技能を修得した者
- 大学、高等専門学校または厚生労働大臣が定める学校もしくは養成所で1年(高専:は4年)以上修業し、かつ、厚生労働大臣の指定する科目を修めた者で、養成 所において2年以上義肢装具士として知識、技能を修得した者
- 職業能力開発促進法の規定に基づく義肢、装具の製作に係る技能検定合格者で養成所において1年以上義肢装具士として知識、技能を修得した者
※ 現在、大学は、私立4校(北海道札幌市、新潟県新潟市、埼玉県さいたま市、広島県東広島市)、養成所は国立1校(埼玉県所沢市)、私立5校(北海道恵庭市、東京都新宿区、愛知県名古屋市、兵庫県三田市、熊本県熊本市)があり、何れも上記(1)に該当する者を対象としており、現在は(2)(3)に対応する大学、養成所はありません。
義肢装具士の養成校一覧
試験科目は以下の通りです。
- 臨床医学大要(臨床神経学、整形外科学、リハビリテーション医学、理学療法・作業療法、臨床心理学及び関係法規を含む)
- 義肢装具工学
- 図学・製図学、機構学、制御工学、システム工学、リハビリテーション工学
- 義肢装具材料学(義肢装具材料力学を含む)
- 義肢装具生体力学
- 義肢装具採型・採寸学
- 義肢装具適合学
合格率はH29年では87%となっています。
主な就職先
大半が民間の義肢装具製作会社に所属し、病院やリハビリテーションセンター、更生相談所等に出向いて業務を行います。
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