臨床検査技師(Medical Technologist:MT)とは、病院や診療所などで、医師の指示のもと臨床検査を行う職種です。
臨床検査には、患者の体から血液、尿、組織の一部などを取り出して行う「検体検査」と、体の表面や内部を検査する「生理学的検査」の2種類があります。検査結果は、正しい診断と効果的な治療を行うために重要な情報となります。
臨床検査技師になるには?
臨床検査技師になるためには、臨床検査技師国家試験に合格しなければなりません。
受験資格は大学の医療系などの学部や3年制の短大の臨床検査学科、専門学校の養成課程、都道府県知事指定の養成所を卒業すると得ることができます。また、獣医学系・薬学系学部で必要な科目を履修して卒業した場合などでも受験資格が得ることができます。
臨床検査技師国家試験の合格率は約80%です。
臨床検査の種類
検体検査
体内を流れる血液や髄液、身体をつくっている細胞や器官、また排出される尿や便など、検査をするために患者さんから採取したものを「検体」といいます。これらの検体から、身体の状態を調べる検査を「検体検査」と呼びます。
なお、検査のための採血業務も行っています。
生理学的検査
「生理学的検査」は直接患者さんの身体に触れ、医療機器を使用して行う検査です。患者さんの緊張を和らげるために、目線を合わせたり優しく話しかけたり、それぞれの患者さんに合わせた対応が求められます。主なものとして超音波(エコー)検査、心電図検査、呼吸機能検査などがあります。
一般検査
尿検査をはじめ、病気の早期発見につながる大切な検査です。尿中の糖やたんぱく質、さらに目に見えない有形成分を顕微鏡で検査し、糖尿病や腎疾患の診断にも役立つほか、尿に含まれる細胞成分より膀胱ガンなどが発見されることもあります。また、大便に含まれる血液成分を検査し、大腸ガンの早期発見や寄生虫検査などもおこなっています。
生化学検査
血清(血液の液性成分)、体液を用いて生体内の様子を分子レベルで検査します。例えば、糖質(グルコース)・脂質(中性脂肪やコレステロール)・蛋白質や尿素・尿酸、電解質(Na、K、Clなど)、酵素(エンザイム)などを分析検査します。特に、緊急検査では、心筋梗塞や昏睡状態の患者さんの状態をいち早く把握し、その後の治療に役立ちます。また、健康診断など、生活習慣病の早期発見や予防にも繋がる大切な検査です。
病理検査
癌(ガン)の早期発見や治療に役立ち、細胞や組織を顕微鏡で検査します。そのための、標本作製や人体解剖の介助も検査技師がおこないます。さらに病理部門には、臨床検査技師免許取得後に細胞検査士(スクリーナー)という資格もあり、細胞検査士の資格取得を目指す卒業生も多数おります。
血液検査
臨床検査技師がおこなう検体検査の中で、一番皆さんが耳にされたことがある検査だと思います。 赤血球・白血球・血小板などの数や形態検査、さらに血液の凝固(固まるしくみ)や線溶(溶けるしくみ)の検査をおこないます。貧血や白血病などの血液疾患の早期発見につながる検査として重要な臨床検査のひとつです。
微生物検査
O-157や食中毒などの原因となる悪性の細菌を検出し、さらにその菌に対して有効な薬(抗生物質)をしらべます。また、結核やインフルエンザ・真菌(カビ)などの感染症の検査もおこないます。
免疫検査
血液型や輸血・移植検査、感染症に対する免疫の強さ(抗体価)の検査をおこないます。また、エイズ、性行為感染症(STD)、リウマチ、膠原病などの検査もおこなっています。
主な就職先
主な活躍の場は、病院や診療所といった医療機関です。
近年では、病院だけで種々の検査を行うことが困難になってきたことから、臨床検査を専門に請け負う検査センターなどにも活躍の場は広がっています。また、人間ドックや定期健康診断、成人病健診などでも必要な人材であり、国や地方自治体の公害研究所、衛生研究所、企業の研究室などにも広がっています。
さらなるキャリアアップ
臨床検査技師免許取得後にも、緊急臨床検査士、細胞検査士、認定輸血検査技師、超音波検査士などの認定資格があります。努力・向上心しだいで自分を高めていくことが可能であり、一生涯を通じて成長していくことのできます。
まとめ
臨床検査技師の仕事は幅広く、血液検査や生化学検査、輸血の検査や採血、さらには心電図や呼吸機能の検査なども行います。心臓病、がんの手術には欠かせない超音波検査、いわゆるエコーと呼ばれるものも臨床検査技師の重要な仕事です。
医療技術の進歩や分業化によりニーズの高まりを見せるとともに、医療スタッフの一員として重要な役割を担っています。
http://www.jamt.or.jp/
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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