吃音に対する一般的なアドバイスにある間違いとは?

吃音の子どもと話しをするときに多くの親御さんは、「ゆっくりでいいよ」「落ち着いてからでいいよ」「もう一度言ってごらん」など、話し方についてアドバイスしています。

しかし、これらのアドバイスは本当に正しいのでしょうか?

適切なアドバイス方法を身に付けましょう

例えば、料理を作るときに、横から「野菜の切り方はこう!」「フライパンの持ち方はこう!」「ここはもっとスムーズにしないと!」など口出しされたら、料理を作る気持ちが失せてしまうと思います。

吃音の子どもに対するアドバイスも料理の例と同じです。子どもが気持ちよく話しているときに「もっとゆっくり話しなさい」「いまの言葉もう一度いってごらん」「落ち着いて深呼吸してみよう」など言われたら、話しが進まずに話す気持ちが失せてしまいます。

また、親からアドバイスを受けるということは、子どもにとっては『あなたの話し方は普通ではない』『あなたの話し方は悪いから、どもらないように話しなさい』と伝えられているのと同じことです。

子どもが苦しそうに話しているので、親として手伝ってあげたいという気持ちになるかもしれませんが、子どもはありのままの自分を認めてもらうことが一番の幸せです。そのためには、親がしっかりとした知識を身に付けることが大事です。

親の話し方が子どもの見本になる

子どもは親の話すスピードを真似て話しています。なので、親から「ゆっくり話しなさい」と言われても子どもは「ゆっくり」がどのくらいのスピードなのかわからない場合があります。
言葉で伝えるのではなく、親自身の話すスピードを落として、子どもの見本となるようにしていきましょう。
また、どもったときに同じ言葉をもう一度言わせるのではなく、「○○がどうしたの?」と話しの続きを促してあげると、親の言葉が子どもの見本になり、こどもの話す欲求をさらに高めることにもつながります。

言葉の先取りをしない

子どもがどもってしまい、なかなかことばが出てこないとき、子どもが言おうとしていることばを先取りしてしまう親がいます。

ことばの先取りは、そのときは「わかってくれて良かった。」となりますが、先取りを繰り返すと子どもが親が先取りしてくれることをどんどん期待してきてしまいます。しかし、これが家庭だけでは問題ないかもしれませんが、幼稚園や学校など、親のいない環境では先取りしてくれる人がいないため、無口な子どもと思われてしまうこともあります。
家ではおしゃべりだが、外ではあまりしゃべらないと報告される場合は、親がことばの先取りをしている可能性があります。

また、先取りをすると、子どもは話したい欲求を削がれてしまい、話したい欲求不満に陥ってしまいます。さらに、言葉の先取りでは、子どもが伝えたい内容と間違った内容を先取りしている場合もあります。そのとき子どもは「また最初から言わないといけないのか。」と腹立たしく思ってしまうこともあります。先取りにはこのようなマイナスの弊害がついてしまうことがあります。

子どもの言葉がなかなか出てこないときは、ゆっくり待って「○○がどうしたの?」と伝わった部分を再確認してあげるとストレスなく話し終えることができます。

×「パパがか・か・か・・・」「帰ってきたんだね」
○「パパがか・か・か・・・」「パパがどうしたの?」「帰ってきた!」

お話しする時間をつくる

両親が仕事で忙しい、兄弟がいる、などなかなか会話ができる環境にないと話したい欲求が満たされず、欲求不満になり、話す意欲が低下し、自己肯定感も低下してしまいます。
吃音のある子どもの話す欲求を保つには、1日10分で良いので、子どもが安心して話しを出来る時間を作ることです。

話す相手は母親だけでなく父親でももちろん良いです。場所はお風呂場などでも良いでしょう。大事なのは、吃音のある子どもが充分に話せる「特別な時間を作ること」です。

兄弟がいて10分であっても吃音の子どもと二人だけの話す時間を作れない場合もあります。吃音があっても、他の兄弟以上に積極的に話しをする子どもの場合はそのままでもかまいません。しかし、吃音があるために、兄弟が話しているときに自分の言いたいことを控えてしまう子どもの場合は、その子のことばを拾ってあげるだけでも大切です。

「あ・・・」と難発の症状になり、話すのを中止してしまったら、「待ってるよ」「あ、の次は何のことば?」など声をかけてあげると、子どもも安心して続きを話せます。

また、子どもと二人で絵本を交互に読むのも効果的です。1行ごとに親と子で交代して読むことで、読むスピードが自然とさがり、親が自分に注目していることを実感できるので、子どもはとても喜びます。

吃音をもつ子どもが求めること

吃音をもつ子どもは、吃音を治すかどうかの前に、親に認めてほしいという欲求を持っています。

インターネット等で吃音矯正器具を子どもに買い与えるだけで、あとは子どもの自主性を待っている親はいませんか?

もちろん吃音が治ることがベストです。しかし、たとえ吃音があったとしても子どもは親に認めてもらいたいのです。吃音矯正器具を使ったが吃音が治らなかったら、子どもは親の期待に応えることができなかったと落ち込んでしまいます。吃音があるせいで自分が認められない!と、吃音を憎んでさらに悪循環に陥ってしまう場合もあります。

「どもってもいいんだよ」という姿勢で、話し方を注意するよりも、子どもの言いたいことをしっかり聞いてあげることで子どもの認められたい欲求を満たすことにつながります。

この記事の投稿者

宮崎 関大
宮崎 関大
STナビ管理人。言語聴覚士。